懇願する様に言う月森は、今までに見たことがない位に、真面目な表情をしていた。陽介の脳内を、クエスチョンマークが乱舞する。天城越えが相棒で、誰かに盗られる位ならばシャドウが出てきて、相棒と呼んで欲しい?
(アレ? なんか、今の総括すっと、月森が俺のこと好きだって言ってるような……?)
そんな馬鹿な、と思いつつ、それ以外に解釈が出来ないので混乱した。
「な、なぁ、間違ってたらワリィんだけど……月森、お前、林間学校んとき、ホモじゃないって言ったよな?」
「今、その話出すか……。嘘だよ、アレは」
月森は苦々しい表情を見せた。
「だって、陽介はホモ怖がってるし……まさか、あんなところで、カミングアウト出来る訳ないだろ。騙したのは、悪かったと思うけど、別に、手とか出してないし」
そりぁちょっと位、出しそうになったとかはないでも、とか微妙に危ないことを月森はもごもごと口にした。
「兎に角、あんな状況で陽介に拒絶されるとかしたら、心折れるって」
「お、お前、昨日とか、すっげー怒ってただろ? なんか、嫌われてんのかとかって、思って」
「あのな、好きな奴から、他の女からの手紙とか預かって来られたら、誰だって苛つくだろ! しかも、陽介は陽介で、密かにモテてるみたいだし。何かそういうの見てたら、嫉妬で頭が変になるかと思ったんだよ。心が狭くて悪かったな」
「も、モテ……?」
「手紙。俺も、渡してくれとか頼まれたんだよ。朝っぱらから。拒否ったけど。その前には陽介が女子から呼び出し受けたとか聞いてるし」
脳の容量が不足しているのか、言われたことを全て処理出来ていない。惚けていると、腕が伸ばされた。そのまま抱き締められて、ますます、陽介の頭が混乱する。
「好きだ」
あぁもうダメだ、と月森は呻く様に言った。
「言いたくなかったのに……陽介が好きなんだよ。誰にも盗られたくない。好きなんだ」
「つき、も」
「でも、陽介は、そんなこと思ってくれないんだなって思ったら、イライラして、八つ当たりまでした。そんで、今度はイザナギがお前に襲い掛かるだろ。ホント、俺、相棒失格だなって思う」
「お、お前が……? なんで……」
「陽介が危ないって思うと、後先考えずに行動するし。そういうの、陽介が嫌いだって分かってたんだけど、どうにも。うっかりすると触ろうとするし、妙なマジックに付き合わせるし、何かもう色々と自分が嫌」
「っと、お、落ち着け、相棒」
そう呼ぶと、月森はぴたりと黙って、腕を離した。
「悪い。思わず抱き締めた」
「あーうん……。どんな『思わず』だ」
「混乱させて悪かった」
背を向けた月森に、漸く陽介も落ち着いてきた。脳の回転が戻っている。
「……カードのマジック。アレ、フォースって言うんだ。狙ったカードを相手に『引かせる』。forceって意味覚えてるか? 強制するって意味。ハートのエースもクイーンも、俺が、陽介に引かせた」
女々しいかな、と月森は背を向けたまま笑った。
(そっか、じゃあ、最後のキングだけは、俺が引いたのか)
何となく、そんな風に思う。
(自分ばっかり、とか、……俺もバカだ)
月森だって、特別だと言ってくれていたのに。
「俺も――好きだよ、相棒」
えっ、と間抜けな声を出して、月森が振り返った。
「だって、特別って、やっぱり、そういう意味だろ?」
(俺も、お前も)
無駄に遠回りをしたけれど。ハートなんて引かされる前からずっと、好きだったのだから。
世間様の主花って可愛いよねお互いもっとらぶらぶしあってるよね
と思って世間様のイメージに近づけようとしてみたんですが、
それより嫉妬に狂う月森が好きなので結局はこのザマです。天城越えだいすき!
あと影主様出してみたかったんだ! イザナギ!
油断してると雪千枝さんたちがいちゃつきますね。千枝ちゃん王子様系。
雪子はPLAYLOGで性格がまぁ…うん…って感じだったので清純お嬢様路線に戻しておきました。
月森視点は本当に…難しい…あの人なに考えてるの